米寿のお祝い

 

先週の土曜日、近しい方々にお集まり頂き、
母の米寿のお祝いの会をした。









心筋梗塞で倒れた5ヶ月前は、
母自身もこれから先どうなるのかと言う不安の方が大きく、

まさか、こんなに短期間のうちに、
人前でスピーチをする日が来るとは、
夢にも思っていなかったのではないかと思う。

 


さすが。

ついこの間まで、
仕事を続けてきた誇りと自負が、
白い着物に負けない存在感を放った。

今は、

倒れる前と同じように、
電車に乗って東京まで出かけられるようになった。

「心配しなくて大丈夫、
 お母さんは平気だから。」

と何度も言う。

だから、

出かけることを心配すると、
無駄に怒られる(・.・;)

そうだった。

昔から母は、出かけることが好きだった。

私たちが子供の頃のことを
思い出しながら姉は言う。


「風邪をひいて寝込んでいる私たちを置いて、
 お母さんはタクシーで会社へ行っちゃったよね。
 あれは仕事に行きたいと言うより、
 出かけたかったんだよね。」

と。

私は言う。

「そうだった?
 私の子供の頃の風邪の記憶は、
 いつもは半分しか食べられない桃が、
 風邪で寝込むとまるまる1個食べられる、
 なんだよね。」

そう、私たちは忘れていた。

金子家は桃は半分ずつで、
レディーボーデンを食べるのは、
何気にイベントだったと言うことを。

いやいや、違う違う、そこじゃない。。

私たちは、うっかり忘れていた。

母は何十年もの間、
出かけたがりやだったと言うことを。

ついつい私たちは、
「病み上がりだから・・・」

と、

母を、

出かけさせないように、
出かけさせないように、

と気を回していた。

でも、

母は出かけたいのだ。

今日も、

「今日はお友達とお夕飯を食べに行くから、
 お母さんは、お夕飯はいりませ~ん。」

とご機嫌な様子で朝8時に申し送りがあった。

先月は2回、1泊旅行へ出かけたし、
11月には台湾へ行く予定だ。

「want to」を実現することが幸せな人生なんだ!
と言うことを母は身を持って示してくれている。

多分(・.・;)

米寿のお祝いの会に参加したスタッフが、

「オーナー(母のこと)には元気に長生きして頂き、
 次はみんなで卒寿のお祝いをしましょう!」

と言ってくれた。






その言葉に涙がこぼれそうになった。

みんな、優しい。