母に手を振る


今日は、前々回からの続きです。

母との会話の量が増えてきて、
娘たちからも「おばさん、おばあちゃんに優しくなったね。」と
言われるところまできた(*'▽')

やればできるじゃーん!と少しずつ思い始めていた私には、
もう一つどうしても越えたい山があった。

それは、出かける私を玄関で見送っている母に向かって、
「行ってきます」と「手を振る」ことだった。

え?そんなこと?

とお思いの方もいらっしゃると思うが、
私にとって「母に手を振る」と言う行為は、
いつのまにか、とても高い山になっていた。

いつからか、私は母に手が振れなくなっていた。

埼玉の自宅から東京の高校に通っていた私は、
毎日、始発から3本めくらいの朝早い電車で通学していたのだが、

母は毎朝門に立ち私を見送ってくれた。

家から数メートル先の小径を駅に向かって曲がる時、
私は振り返り、

「行ってきまーす!」

と手を振り、

母は

「行ってらっしゃーい!」

と手を振り返してくれた。

それは、まるで儀式のように3年間ずっと続いた。


その儀式を受け継ぐように、

私も子供たちが幼い頃からずっと、
子供たちが出かける時には、
必ず玄関に立ち、門を出る時に振り向く子供と
手を振りあっている。

今でも。

にもかかわらず、

いつしか、私は母には手を振れなくなっていた。

いや、振らなくなっていた。

それでも、母はいつもいつも玄関から
私を見送ってくれていた。

私は手を振れる自分になりたいと思った。

なんか、大げさで、今思うと恥ずかしいが、
でも、ホントそんな感じだった。


「よし、手を振るぞ。」

そう決めた私は、強化理論よろしく、
リンツのチョコを車に持ち込んだ。

(なぜ、リンツのチョコなのかは、
 5月31日のブログをお読みくださいませ。
 http://mothering-m.or.jp/blog/2019/05/31/)

いざ手を振ろうと思っても、
ものすごく抵抗している自分がいた

・・・が、

やると決めたんだからやろうと思い、
車の窓を開けて「行ってきまーす」と、
蚊の鳴くような声で言いながら、
小さく手を振り、

チョコを食べた。

何ともぎこちなく、照れくさくて参ったが、
ひとまず、ちゃんと手を振れたことに、
新たなスタートが切れた感じがした。

「は?オーバーじゃね?」

と双子の娘たちからは言われそうだが、

だけど生まれ変わった感じがした。
すがすがしいってヤツだ(笑)

聞いてはいないが、母も驚いたのではないかと思う。

何年も手を振らなかった私が、
あの日を境に急に手を振るようになったのだから。





今、私は、

母に手を振れるようになったし、

出かける母を玄関で見送るようになった。


双子に自慢しよーっと(*'▽')