喧嘩

前回からの続きです。


母に少しずつ優しくできるようになってきた、
母との会話量がだんだん増えてきた、

とは言え、

当たり前だけど、毎日がバラ色なワケではない。

退院してきて1ヶ月くらい経った頃だったと思う。

朝、思い通りにならない身体にイライラした母が、
ものすごく嫌そうな表情と言い方で、出がけの私に
突っかかってきた。

私も私で「は?」と思った瞬間にスイッチが入り、
売り言葉に買い言葉、

「あ、そう、わかった。じゃあ、もう、全部、1人でやったらいい。
 私はもう、何もしない!これから、全部1人でやってよね、
 冗談じゃない!」

と言い放ち、

「ふざけんな、ばーか」

と思いながら会社へ向かった。

その日、私は一日中事務所で仕事をしていた。

お昼までは、確実に、
「マジでムカつく」と思っていた。

でも、お昼を食べ、コーヒーを飲み、
頭の片隅で朝の母との会話を反芻しながら、
黙々と仕事をしていたら、夕方頃には、
「帰ったら、まず、謝ろう。」
と思うようになっていた。

そして、その通りにした。

バックを部屋に置いた私は、
すぐに母のそばに行き、

「今朝はひどい言い方をして悪かった。ごめんなさい。」

と謝った。

すると、

母が、

「お母さんも今日色々考えてました。あんたは色々よく
 やってくれてるのに、ひどい言い方をしてしまったと
 反省してました。ごめんなさい。
 これからも仲良くやっていきましょう。
 よろしくお願いします。」

と謝ってきた。敬語で(・_・)

だから、私もつられて

「はい、よろしくお願いします。」

と頭を下げた。

なぜか鼻がツーンとした。
母はケロっとしていたが(笑)

今まで私は母に対して思うことがあっても、
母から何か言われて腹が立っても、
理解も納得もしていないのに、
「わかった」と言い、話すことを避けていた。

面倒だから。

が、

今回は感情のままに吐き出したので冷静になれた。

冷静になって色々考えたら謝ろうと思えた。

私と母は、お互いに協力し合い毎日を気持ちよく過ごすために
一緒に生活をしている。ケンカをするために一緒にいるのではない。

そのためには、言い合ったことに関してうやむやにせず、
話し合う必要がある。

謝るのは60才間近とは言え、母よりはエネルギーのある私から
だなと思えた( `ー´)ノ

謝ってみて。

まずは、謝れた自分をエライと思えたし、
子供に謝れる母はもっとエライと思え、
母のことが誇らしい気持ちになった。

そして、思った。
私は母をよく知らない、と。

あと、どれだけの時間が残されているのかは
わからないが、母のことを知っていこうと思う。