真相は藪の中。

 

毎年、新年会の時に、各館から1名ずつ、
ベストフロント賞とベストメイド賞が選ばれ、
商品券がプレゼントされる。



商品券を買いに行くのは私の役目なので、
同じ時期にまとまった数の商品券を買うようになって数年経つが、

ある時から商品券の売られ方が変わった。

例えば、

「1万円の商品券を10組ください。」

と言うと、

千円の商品券を10枚重ねたもの10組が目の前に並べられ、

「お客様が数えて頂けますか?」

と言われるようになった。

お店の人に初めてそう言われた時、

「なぜ、私が数えるのですか?」

と聞いてみた。

すると、

「会社で決まったことなので・・・」

みたいなことを言われた。

もちろん、

「え、え、えーーーーー!」

と思ったが、

素直な私は( ̄▽ ̄)
言われるがままに数えた。

翌年も同じお店で購入し、
やはり「数えて頂けますか?」と言われて数えた。

次の年は違うお店に行ってみたが、
やはり「数えて頂けますか?」と言われて数えた。

なるほど、私が知らないだけで、日本全国、
商品券は買う人が自分で数えることになったらしい。

そして、今日、商品券を買いに初めて入ったお店でも、
目の前に商品券を並べられ、

いつもと同じように、

店員さんから、

「お客様が数えて頂けますか?」

と言われた。

ただ、この店員さんが一見ぶっきらぼうだけど、
なぜか、感じが悪くない。むしろ、この人いい人?と
思わせる不思議な感じの人だったので、

私は、

「商品券ってある時から買う人が数えるようになったと
 思うんですけど、なんでですか?」

と聞いてみた。

「あ?え?あー、うー。でも、確かにそうですねぇ。
 前は違いましたよね。うーん、なんででしょう。
 責任を取りたくないということでしょうか?」

とすごい考えながら答えてくれた。

気をよくした私は、

「買う人が商品券を数えるようになった辺りから、
 スーパーとかでお釣りのお札をお客さんのほうに見せながら、
 数えるようになったと思いませんか?」

と聞いてみた。

店員さんは、

「あー、確かに、そうかも知れないですね。
 あれも前はやってなかったですよね。
 あれも同じ理由でしょうかねぇ。」

と言い、

続けて、

「でも、難しそうですよね。あのお札の持ち方。」

と言ったので、

「そこですか?」

と言ったら、

ニッコリ笑った。

その顔が可愛かったと言うか面白かったので、

買ったばかりのみかんを、座布団の代わりに、
いくつか置いて帰ってきた。

真相は藪の中だけど、

楽しかったから、

ま、いいか。