言い放つ

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初めて私がまつ毛のエクステをつけたのは50歳を過ぎた頃だった。

それまではツケまつ毛もつけたことがなかったが、

エクステを装着!した目元を見て、

「おー、これは若い人ではなく年老いた人にこそ
 必用なものじゃないか!すごーい!バンザーイ!」

とえらく感動し、
毎月やるぞ!と決意し、あれから5年。

今も毎月1回、全国展開しているサロンに通っている。

最初の2年間は、百貨店の片隅にはいっているとても小さな店舗で

家からも遠く不便だったが、
とても感じのいい人が担当だったので、
ずっとその人にお世話になっていた。

が、悲しいかな、
その人が結婚退職することになった。

困った私は、であれば、家からもう少し近いほうが便利と
同じサロンの別店舗へ移ることにしたのだが、

なかなか行きたいお店と私の都合があわず、
それから1年間くらいはそのサロンの都内や埼玉の店舗を
転々とすることになった。

で、

気づいた。

施術者によって出来栄えや持ちが全然違うと言うことを。

転々としたおかげで「人によって差が出る」
と言うことがはっきりわかった。


そして、

私は転々としているうちに、
明らかになんか他の人と違う技術の持ち主に出会った。

その人にやってもらうと出来と持ちが確実に違った。

「おー、素晴らしい~!」

と、

それからは毎月その店舗を訪れその人を指名するようになった。

それから2年以上、私は、毎月、技術は確かなその人に
お世話になっているが、一つだけ気になることがあった。

そう、その人は、どちらかと言うと、

あまり感じがいい人ではなかった。

どんな感じなのかと言うと・・・

例えば、

デザインを変えたいとか、
手入れの方法とか、

少し面倒なオーダーや質問をすると、

なんか一瞬おっくそうな顔をして妙な間があくのだ。

だから、

「あれ?余計なこと言っちゃった?」とか、
「ヘンなことを聞いちゃった?」と、

こちらが気を使ってしまうような空気が流れる。

感じのいい接客をする人との間には決して流れない空気、だ。

私は、

「この妙な間さえなくなればこの人サイコーなのになぁ。」

といつもそう思っていたが、
それを直接彼女に伝えることはなかった。

当たり前か。

でも、

それはある日突然やってきた。


彼女に対して持っていた私の微妙な胸の内を伝える日が。

そして、

私は彼女に向って次のように言い放ち、
そのお店を出て来ることになった。

「あのね、あなたね、そんな態度だったら、
 そのうちお客様が来なくなるからね。
 なんなのいったい。お客さんをいったい
 なんだと思っているの?
 私ももう2度と来ない!
 今までありがとーございました。
 さよなら!!!」

と。

さて、長くなったので、

この続きは、また、明日・・・